ZEHで光熱費は月いくら変わる?松江の省エネ住宅と補助金
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「省エネ住宅って、結局どれくらいお得なの?」
松江市で家づくりを考え始めたご家庭から、私たちIEKAKEに寄せられるご質問のなかで、特に多いのがこのテーマです。ZEH(ゼッチ)、断熱等級、UA値……聞き慣れない専門用語が並ぶと、つい後回しにしたくなる気持ちもよくわかります。
この記事では、国土交通省・環境省・資源エネルギー庁・気象庁などの公的な資料をもとに、ZEHの基礎知識、松江の気候、光熱費の差の目安、初期費用の回収の考え方、2026年10月時点で使える制度を整理します。「光熱費が月1万円変わる」といった言い方を見かけることがありますが、公的な試算では、松江と同じ地域区分でどれくらいの差になるのかも確認します。
そもそも「省エネ住宅」「ZEH」とは?
省エネ住宅とは、断熱性・気密性が高く、冷暖房などのエネルギー消費を減らせる住宅のことです。壁や屋根、窓からの熱の出入りを抑えて、少ないエネルギーで快適な室温を保てるように設計します。
その中でも注目されているのが「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」です。高い断熱性能と省エネ設備でエネルギーの消費を減らし(省エネ)、太陽光発電などでエネルギーをつくる(創エネ)ことで、1年間のエネルギーの収支をおおむねゼロ以下にすることを目指す住宅です。
国の動き:2025年4月から義務化、2030年度にはZEH水準へ
国土交通省によると、2025年4月から、すべての新築住宅・建築物に省エネ基準への適合が義務化されました。さらに政府は、2030年度以降に新築される住宅について、ZEH水準の省エネ性能の確保を目指し、省エネ基準を段階的に引き上げる方針です。つまり、これから建てる家では、省エネ性能は「最低限の条件」になり、どこまで性能を高めるかが、暮らしの快適さと家計に関わってきます。
ZEHにも「グレード」がある
断熱の等級(断熱等性能等級)と、エネルギー消費量の削減率の組み合わせで、次のように整理されます。数値は、松江市が属する6地域の目安です。
呼び方 | 断熱(UA値) | エネルギー消費量の削減 | 太陽光 |
|---|---|---|---|
省エネ基準(断熱等級4) | 0.87以下 | 基準どおり | 不要 |
ZEH水準(断熱等級5・一次エネ等級6) | 0.60以下 | 基準より20%以上減 | 不要 |
ZEH | 0.60以下 | 20%以上減、再エネを含めて100%以上 | 必要 |
さらに、補助金の区分には、断熱等級6相当の性能と大きな削減率を求める「ZEH+」があります。また、寒冷地・日射の少ない地域・雪の多い地域では、再エネを含めて75%以上でよい「Nearly ZEH」という区分もあります。松江がこの対象地域に当たるかどうかは、地域区分や日射区分によるため、設計者に確認してください。
松江の気候と、省エネ住宅の相性
松江市は、省エネ基準の地域区分で「6地域」に当たります。東京23区などと同じ区分です。気象庁の平年値(1991〜2020年)で、松江の気候を見てみましょう。
月 | 平均気温 | 日照時間(月合計) | 雪の日数 |
|---|---|---|---|
12月 | 7.0℃ | 78.8時間 | 9.8日 |
1月 | 4.6℃ | 67.4時間 | 18.2日 |
2月 | 5.0℃ | 88.6時間 | 14.3日 |
8月 | 27.1℃ | 201.0時間 | - |
1月の日照時間は、8月の約3分の1(67.4時間と201.0時間)です。冬は曇りや雪の日が多く、暖房を使う期間が長くなる一方で、太陽光発電の発電量は冬に少なくなります。「太陽光でゼロにする」ことを前提にするより、まず断熱性能を上げて、暖房で使うエネルギーそのものを減らす考え方が、松江には合っています。
断熱は、光熱費だけでなく健康にも関わる
国土交通省の資料(全国調査の結果)では、居間の室温が18℃未満の家に住む人は、18℃以上の家に住む人に比べて、心電図の異常所見がある割合が1.8倍、総コレステロール値の異常が1.8倍でした。また、居間や脱衣所が18℃未満の家では、42℃以上の熱めの入浴をする人が約1.7倍になり、入浴時の事故のリスクが高まるとされています。高齢のご家族や小さなお子さんがいるご家庭では、光熱費以外の面も、判断材料になります。
窓の影響も大きく、神奈川県の資料では、冬の暖房時に熱の約58%が窓などの開口部から逃げ、夏の冷房時には約73%が入ってくるとされています(古い基準で建てた住宅モデルでの例)。窓の性能は、費用に対する効果が出やすい部分です。
光熱費はどれくらい変わる?公的な試算で見る
国土交通省は、省エネ基準の住宅とZEH水準の住宅の、年間の光熱費の差を試算しています。松江と同じ6地域の東京23区等の結果は次のとおりです。
試算の前提 | 省エネ基準の住宅 | ZEH水準の住宅 | 差(年) |
|---|---|---|---|
2017〜2019年度の平均単価 | 239,000円 | 193,000円 | 46,000円 |
最近の値上がりを踏まえた単価 | 277,000円 | 224,000円 | 53,000円 |
年4.6〜5.3万円の差を月に直すと、約3,800〜4,400円です。単価が変わらないと仮定して30年間で合計すると、約138〜159万円になります。試算には太陽光発電の売電や自家消費は含まれておらず、実際の光熱費は、電気・ガス・灯油の価格や暮らし方で大きく変わります。
「月に1万円近く違う」といった数字は、冬の寒さが厳しい北海道(札幌市等では年9.6〜10.7万円の差)の試算に近いもので、松江と同じ地域区分では、その半分ほどが公的な試算の目安です。
参考までに、環境省の調査(令和5年度)では、世帯あたりの年間のエネルギー支払金額は、中国地方で18.61万円、戸建住宅の全国平均で20.8万円でした。
初期費用は、光熱費だけで取り戻せる?
ZEH水準にすると、断熱材や窓のグレードアップなどで、建築費が上がります。上がる金額は、仕様や住宅会社によって大きく違うため、ここでは仮の金額で、光熱費の差(年4.6〜5.3万円)だけで元を取るのに何年かかるかを計算してみます。
追加の費用(仮) | 光熱費の差だけで回収 | 補助金35万円を引いた場合 |
|---|---|---|
100万円 | 約19〜22年 | 約12〜14年 |
150万円 | 約28〜33年 | 約22〜25年 |
200万円 | 約38〜43年 | 約31〜36年 |
※ 補助金35万円は、みらいエコ住宅2026事業のZEH水準住宅(5〜8地域)の額で、子育て世帯・若者夫婦世帯が対象です。光熱費の差は、上の公的な試算の幅(年4.6〜5.3万円)を使っています。
この計算から分かるのは、光熱費の削減だけで元を取ろうとすると、時間がかかることがあるという点です。追加の費用は、見積もりで必ず確認してください。そのうえで、快適さや健康、住宅ローン減税などの制度、将来の資産としての評価も合わせて、判断するのがよいと思います。
2026年10月時点で使える制度
補助金
みらいエコ住宅2026事業(国):5〜8地域で、GX志向型住宅が110万円(全世帯)、長期優良住宅が75万円、ZEH水準住宅が35万円(子育て世帯・若者夫婦世帯)。注文住宅の受付は、ZEH水準住宅がすでに終了、GX志向型と長期優良住宅は2026年12月31日までです(予算の上限に達したら終了)。
戸建ZEH化等支援事業(環境省・経済産業省、令和8年度):ZEHは4〜8地域で1戸あたり45万円、ZEH+は5〜8地域で80万円です。公募の時期や、みらいエコ住宅2026事業と重ねて使えるかは、公募要領で確認が必要です。
島根県・松江市の制度:しまね省エネ住宅・再エネ設備パッケージ補助金、松江市の太陽光・蓄電池の補助などがあります。詳しくは、次の記事にまとめています。
住宅ローン減税
令和8年度の税制改正後の住宅ローン減税は、住宅の性能で借入限度額が変わります(2026・2027年に入居する新築の場合)。
住宅の性能 | 借入限度額(子育て世帯等) | 控除期間 |
|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円(5,000万円) | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(4,500万円) | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(3,000万円) | 13年 |
借入が2,000万円を超える方は、性能が高いほど、控除の対象になる借入額が広がります。
住宅取得等資金の贈与税の非課税
親や祖父母から住宅の資金の贈与を受ける場合に、非課税になる額が、省エネ等住宅で1,000万円まで、それ以外の住宅で500万円までです(受贈者ごと)。新築で「省エネ等住宅」に当たるのは、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の住宅(ZEH水準相当)です。ただし、この特例は、贈与を受ける期間が令和8年12月31日までです。利用を考えている方は、期限が近いので、早めに確認してください。
松江で省エネ住宅・ZEHを建てるときの実践ポイント
補助金の登録事業者かを確認する:みらいエコ住宅2026事業は、登録された事業者が申請します。ZEH支援事業も、年度ごとの公募要領で、対象となる事業者の条件が決まっています。契約の前に、確認しましょう。
窓の性能にこだわる:樹脂サッシやLow-E複層ガラスなど、窓の性能は、費用に対する効果が出やすい部分です。
太陽光は、冬の日照を踏まえて検討する:松江は冬の日照が少ないため、太陽光だけで100%をまかなうことにこだわらず、断熱性能を優先する考え方もあります。
補助金のスケジュールから逆算する:みらいエコ住宅2026事業は、2025年11月28日以降に基礎工事に着手したものが対象で、注文住宅の交付申請は2026年12月31日までです。「まだ先」と思っていると、間に合わない場合があります。
よくある質問
Q. ZEHと「ZEH水準」は、何が違いますか?
断熱の性能(断熱等級5)とエネルギー消費量の削減(20%以上)は同じです。ZEHは、さらに太陽光発電などでエネルギーをつくり、再エネを含めて100%以上の削減を求めます。ZEH水準は、太陽光が必須ではありません。
Q. 太陽光なしでも、省エネ住宅にする意味はありますか?
あります。上の国土交通省の試算(ZEH水準)は、太陽光を含まない比較です。断熱と省エネ設備だけでも、光熱費の差と、室温の安定による快適さ・健康面の効果が期待できます。
Q. 補助金のために、性能を上げたほうがいいですか?
補助金だけを理由に決めるのは、おすすめしません。性能を上げるための追加の費用が、補助額を上回ることもあるためです。「ご家族の暮らし方や、予算に合っているか」を軸にして、補助金は、それを後押しする制度として考えましょう。
まとめ:「損しない家づくり」は、数字を確かめることから
省エネ住宅・ZEHの検討は、専門用語や制度が多く、ハードルが高く感じられるかもしれません。ポイントは次のとおりです。
松江は6地域。ZEH水準の断熱はUA値0.60以下。
国土交通省の試算で、省エネ基準とZEH水準の光熱費の差は、6地域で年4.6〜5.3万円(月3,800〜4,400円)。
光熱費だけで追加の費用を取り戻すには長い期間がかかることがあるため、補助金・住宅ローン減税・快適さと健康も合わせて判断する。
制度は、期限と予算がある。みらいエコ住宅2026事業の注文住宅は12月31日まで、贈与税の非課税の特例は贈与を受ける期間が12月31日まで。
IEKAKEでは、松江市・島根県で家を建てたい方の住宅相談を承っています。「うちの場合、どの性能を目指すのがよいか」「補助金は使えそうか」など、個別のご質問にもお答えしますので、お気軽にご相談ください。
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【出典・参考】(2026年10月16日時点の公表資料)
国土交通省「省エネ住宅で節約できる年間の光熱費・住宅の断熱化による健康への好影響」、「2025年4月から全ての新築で省エネ基準適合を義務化」、「住宅性能表示制度の省エネ上位等級」
資源エネルギー庁「新しい省エネの家「ZEH」」
気象庁「松江の平年値(1991〜2020年)」
神奈川県「省エネリフォームの事例集」(窓などから出入りする熱の割合)
国土交通省「住宅税制」および「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」、国税庁「住宅取得等資金の贈与税の非課税(No.4508)」
国土交通省ほか「みらいエコ住宅2026事業(注文住宅の新築)」


