家を買うのは数年待つべき?松江の住宅価格と金利の現実
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「もう少し貯金してから」「子どもがもう少し大きくなってから」——松江で家づくりを考える30代のご夫婦から、こうしたお声をよく伺います。慎重に判断したいというお気持ちは、よくわかります。
一方で、ここ数年は、住宅の価格も、金利も、動きが大きくなっています。この記事では、公的な資料の数字をもとに、「待つ」と「動く」のそれぞれに何があるのかを整理します。結論を先にお伝えすると、待つのがよいか、動くのがよいかは、ご家庭の状況で変わります。ただし、「なんとなく待つ」のではなく、「いつ、何が整ったら動くか」を決めておくことが大切です。
この5年で、住宅の価格はどう動いた?
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」で、首都圏・近畿圏・東海圏以外の地域(島根県を含む「その他地域」)の、2019年度と2024年度の平均を比べてみましょう。
項目 | 2019年度 | 2024年度 | 5年間の変化 |
|---|---|---|---|
土地付注文住宅の総額(建設費+土地取得費) | 3,869.2万円 | 4,534.1万円 | +17.2% |
うち建設費 | 2,945.2万円 | 3,549.1万円 | +20.5% |
うち土地取得費 | 924.0万円 | 985.0万円 | +6.6% |
注文住宅の建設費(1㎡あたり) | 約26.1万円 | 約31.7万円 | +21.7% |
建売住宅の購入価額 | 2,855.3万円 | 3,094.9万円 | +8.4% |
世帯年収(土地付注文住宅の利用者) | 599.4万円 | 695.3万円 | +16.0% |
※ フラット35を利用した方の平均です。島根県だけの数字ではなく、毎年、家の面積や仕様がそろっているわけではありません(注文住宅の平均面積は、125.6㎡から117.9㎡に小さくなっています)。
この表から分かるのは、次の点です。
建物(建設費)の上昇が大きく、5年で約2割、1㎡あたりで見ても約2割上がっています。
土地の取得費の上昇は、約7%と小さめです。
世帯年収も約16%上がっていて、価格の上昇に収入が追いついているかどうかは、家庭によって違います。
島根県の令和8年地価公示では、松江市の住宅地の平均価格は前年比+0.7%(前年は+0.8%、2年前は+0.7%)で、緩やかな上昇が続いています。島根県全体の住宅地の平均は▲0.4%で、松江市は県内でも底堅い地域です。
金利の動き:詳しい数字は別の記事で
日本銀行は、2024年3月のマイナス金利の解除以降、段階的に政策金利を引き上げてきました。2026年9月18日の会合では、1.25%程度にすることを決めています。長期固定のフラット35の金利(最も多い金利、融資率9割以下、2026年10月)は、年3.83%です。こうした金利の上昇が、毎月の返済額と借りられる額にどう影響するかは、次の記事で数字を示しています。
金利は、今後も上がり続けるとは限りません。住宅金融支援機構の調査(2026年1月)では、今後1年の金利を「現状よりも上昇する」と見ている人は73.7%でしたが、将来の金利を、正確に当てることは誰にもできません。
「あと3年待つ」と、どうなる?試算で比べる
ここからは、あくまで仮の条件での試算です。
価格が、これまでと同じペースで上がった場合
土地付注文住宅の総額が、過去5年の平均(年約3.2%)のペースで上がり続けたと仮定すると、3年後の総額は次のようになります。
いま(2024年度の平均) | 3年後(仮の試算) | |
|---|---|---|
土地付注文住宅の総額 | 約4,534万円 | 約4,990万円(+約450万円) |
実際には、価格は上がることも、横ばいになることもあります。ただ、「待てば安くなる」と考える根拠は、少なくとも過去5年の統計からは見つかりません。
待つ間の家賃は?
賃貸にお住まいの場合、家賃を月8万円とすると3年間で288万円、月10万円なら360万円です。ただし、家を買ったあとも、住宅ローンの返済、固定資産税、修繕費などがかかります。比べるのは、家賃そのものではなく、「家賃」と「住宅ローンの返済+維持費」の差です。
待つことで得られるもの
待つことには、メリットもあります。たとえば、年50万円の貯蓄ができるなら、3年で150万円の頭金や、緊急資金を増やせます。また、教育費のピークに向けて、家計の余白を作る時間にもなります。大切なのは、「待つことで得られるもの」と「待つことで失うもの」を、数字で並べることです。
待つことに意味があるケース・動いたほうがよいケース
待つことに意味があるケース:緊急資金(生活費の半年分が目安)が足りない/教育費のピークの直前で家計に余白がない/収入が不安定、または転勤の可能性が高い/まだ土地も会社も決まっておらず、情報収集の段階。
動いたほうがよいケース:頭金と緊急資金が、すでに用意できている/お子さんの入学前に住まいを決めたい/完済の年齢が高くなりそう(35歳で借りて70歳、40歳で借りて75歳)/使える補助金や税の特例の期限が近い。
2026年10月時点では、国の「みらいエコ住宅2026事業」の注文住宅の受付(GX志向型・長期優良住宅)が12月31日まで、親や祖父母からの住宅取得資金の贈与税の非課税の特例が、贈与を受ける期間が12月31日までです。期限があるものは、予算の上限に達すると早く終わることもあります。詳しくは、次の記事で整理しています。
「いつか」ではなく「いつまでに」で考える
焦って判断する必要はありません。次の3つの質問に答えてみると、動く時期が見えてきます。
何歳までに、ローンを完済したいか:35年返済なら、借りる年齢に35を足した年齢が完済年齢です。
教育費のピークは、いつか:返済と重なる時期を、年表に書いてみます。
何が整ったら動くか:頭金がいくら、緊急資金がいくら、など具体的に決めます。
ライフプランの作り方は、次の記事にまとめています。
よくある質問
Q. 金利が下がるまで、待ったほうがいいですか?
金利がいつ、どちらに動くかは、誰にも分かりません。「下がるまで待つ」と決めると、待つ間に価格が上がったり、補助金の期限が過ぎたりするリスクがあります。金利が上がっても払える予算にしておく(金利は予算の余白で備える)考え方のほうが、確実です。
Q. 住宅の価格が下がることはありますか?
将来の価格は予想できません。ただ、フラット35の統計を見るかぎり、「その他地域」の注文住宅の建設費は、2019年度から2024年度まで、毎年上がっています。建築費の上昇は、松江だけの傾向ではなく、全国の傾向です。
Q. 貯金がいくら貯まったら、動いていいですか?
金額に決まりはありません。頭金の目安や、頭金なしで購入した方の割合などは、頭金の記事で整理しています。緊急資金(生活費の半年分程度)を残したうえで、返済の安全ラインを守れるかを基準に考えてください。
まとめ:「待つ」か「動く」かは、数字で決める
住宅の価格は、この5年で、建物を中心に上がっています。金利も上昇局面にあります。一方で、将来のことは誰にも分かりません。だからこそ、「待つ」にも「動く」にも、理由と基準を持つことが大切です。
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【出典・参考】(2026年10月16日時点の公表資料)
住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(2019〜2024年度。「その他地域」の数字)
島根県「令和8年地価公示について」
日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
住宅金融支援機構「【フラット35】2026年10月の借入金利」、「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」
国土交通省ほか「みらいエコ住宅2026事業(注文住宅の新築)」、国税庁「住宅取得等資金の贈与税の非課税(No.4508)」
※ 「3年後」の試算は、過去5年の平均の上昇率が続いた場合の仮の計算で、将来の価格を予測するものではありません。





